賃貸人:「土地を貸して、借地人が建物を建てて住んでいるが、すぐに立ち退いてほしい」
借地人:「土地を借りて、建物を建てて長年にわたって住んでおり、すぐに立ち退いてと言われて困っている」
こういった相談が増えています。とくに、「借地上に借地人が建てた古い建物を取り壊して、土地に子供の家を建てたい」「借地を有効活用したい」といった要望が増えているため、借地の明け渡し・立ち退きをめぐる問題が増えている印象です。
具体的ケースをもとに考えてみます。
ケース
賃貸人Aが、借地人Bに土地を貸して、Bが土地上に建物を建てて住んでいます(借地契約において期間20年と明記)。20年が経過しようというとき、AはBに対して「期間満了時に立ち退いてほしい」と告げました。Bは20年経過時=賃貸期間満了時に立ち退くことになるか?
結 論
①借地契約は期間満了によって当然に終了とはならない。「正当事由」があってはじめて、借地人が立ち退くことになる。
②「正当事由」には、賃貸人が土地を使用する必要性、借地人が土地を使用する必要性、立退料その他一切の事情をふまえて判断される。
結論①は、不思議な感じがします。「借地契約において期間20年と明記されていて、20年が経過したなら、借地契約は当然に終了するのでは??」と思われるのではないでしょうか。
しかし、本ケースでは、借地借家法が適用されるため、「正当事由」があってはじめて、借地契約が終了することになります。
この点は、実際の法律相談でも、なかなかご理解いただけない点の一つです。
結論②について、本ケースでの「正当事由」とは何でしょうか?
簡単に言ってしまえば
⑴賃貸人が土地を使用する必要性
⑵借地人が土地を使用する必要性
⑶立退料
⑷その他一切の事情
ということになります。
逆に言いますと、⑴の賃貸人が土地を使用する必要性が無く、⑵借地人が土地を使用する必要性が非常に高い場合には、⑶の立退料を相当額はらうとしても、立ち退きが認められない結果となることもあります。
具体的に言いますと、賃貸人Aは土地を使用する必要がほとんどなく、単に「気に入らない」といった理由で土地の明け渡しを求め、他方で借地人Bが資産がなく住居を失うといった必要性が高い場合には、Aが「立退料を相当額はらう」と主張しても、立ち退きそのものが認められない、という結果になることがあります。
この点も、実際の法律相談でも、なかなかご理解いただけない点の一つといえます。
たしかに、賃貸人Aからすれば、「借地契約において期間20年と明記しているのに、20年で借地契約が終了しないだけでなく、さらに必要性がないと、自分の土地なのに、立ち退き料をはらっても土地が返還されないのか??」と疑問に思われるかと思います。
ですが、借地借家法は借主保護という目的があるため、借主に有利な結果となる(賃貸人に不利な結果をもたらす)ことが多々あります。
では、⑶立退料とは具体的にどのように算定されるのでしょうか?
借地の場合には、ざっくりというと「借地権価格」を基に算定され、借地権価格(借地権の相続税課税評価額)は以下の式により算定されます。
借地権価格 = 自用地としての評価額 × 借地権割合
注)自用地としての評価額とは市街化地域の宅地の場合は路線価に対して、土地の形状や道路付等の状況を加味して評価額が決定されます。
例:8000万円の評価額で借地権割合が60%の場合
8000万円 × 60%=5400万円(借地権価格)
以上が、大雑把ではありますが、本ケース(借地上の一軒家)の立ち退き料の説明となります。
当事務所では、借地上の一軒家の立ち退きを含めた不動産に関する案件は、早めの相談が重要と考えておりますので、最初の相談については30分~1時間無料としております。
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