占有移転禁止の仮処分について

■占有移転禁止の仮処分について

占有移転禁止の仮処分について不法占拠者に対して物件の明け渡しを求める際には「占有移転禁止の仮処分」が必要になるケースが多々あります。

以下では占有移転禁止の仮処分とはどういった手続きでどのようなケースに必要になるのか、その方法等をご説明します。

 

■不法占有者を固定するために

占有移転禁止の仮処分とは、「物件を占有している状態を他人に移してはならない」と裁判所で決定してもらう手続きです。

占有移転禁止の仮処分が必要になるのは、不法占拠者に明け渡しを求めるときです。

不法占拠者に対して「明け渡し請求訴訟」を行った場合、判決の効果が及ぶのは、被告である不法占拠者本人のみです。

しかし明け渡し請求の訴訟には数か月の時間がかかるので、判決が出るまでに不法占拠者が他の人に物件の占有を移してしまう可能性もあります。また、不法占有者が、敗訴を覚悟して、占有を第三者に移してしまうということも考えられます。

そうなってしまうと、第三者(次の不法占有者)には明け渡し請求の判決の効果が及ばないため、判決を得た意味がなくなってしまいます。

そこで事前に「占有移転禁止の仮処分」を行い、占有を不法占拠者本人に固定する必要があるのです。

「占有移転禁止の仮処分」は、不法占有者を固定して、明渡請求を確実に進めるというメリットがあります。

 

占有移転禁止の仮処分が必要なケース

占有移転禁止の仮処分が必要になるのは、以下のようなケースです。

  • 物件を貸した相手と異なる人が出入りしている
  • 個人に貸したのに法人名義の表札や看板が掲げられている
  • 物件の利用状況を聞きたいから電話などをしても賃借人と連絡がとれない

 

このようなケースでは、賃貸借契約を解除して、解除後の不法占有者に対して占有移転禁止の仮処分を行い、占有者を固定したうえで、「明け渡し請求訴訟」を提起します。

占有移転禁止の仮処分は、専門的な手続きですので、必要かどうかや、具体的な手続きも含めて、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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